居合道 〜掟(おきて)〜

    無 双 会    
柳 瀬 正 清  平成二十年 正月

 その昔、今の高知県南国市赤岡町に生を受けた、昭和の剣聖と称された居合道範士 山本晴介が晩年の頃、小生に稽古を付けて下さった折に、無双直伝英信流の居合の心技の掟について口伝された内容を手帳に書き留めていたものをここに紐解き、40数年の経験から会得したものを書き添えたものです。

 先生が、特に稽古中に口癖のように言われたことは、古流の技については先人が命を賭けて編み出したものであり、決して平和で頭でっかちに育った昨今の者が理屈をつけて変じられるような軽いものではないとご指導くださいました。

 つまり、刀法 体捌きは剣人が命を賭けて編み出したもので、軽々しく変えることを決しておこなってはならないと諭されたものです。

 また、身近な竹刀のみにて終始する剣道人の為に創った全県連居合が、あたかも居合の基本であるかの如き感覚になっていますが、居合道はおよそ500年の昔、室町末期に林崎甚助源重信によりあみだされた古流の技こそ聖たるものであるとも称されておりました。

 こうした居合道の真髄たる「掟」を今日のやや荒廃しつつある世間を懸念してか、多忙を割いて​武士道のなんたるかを悟り行かんとする居合道の同友皆様の一助になればと、高知赤岡町の生家にお住まいの山本晴介先生の愛娘 山本敏子様のお許しを得て

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